院内処方と院外処方
診察を受けた医療機関で、直接薬を受け取るものを院内処方、医療機関で処方箋を発行してもらい、調剤薬局で薬を受け取るのを院外処方と言います。
最近では医薬分業が進み、2018年には院外処方を採用している医療機関が全国で75%を超えました。
院内処方のメリット
移動が少なく、会計も一度で済みますし、追加処方や処方日数の変更も窓口で簡単に行えます。
また、院外処方に比べ金銭的負担が必ず少なくなります。
これは院外処方と院内処方では処方の際にかかる様々な医療費に差があるためです。
例)
院外 処方 |
院内 処方 |
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処方箋料・処方料 | 680円 | 420円 | |
調剤基本料・ 調剤技術基本料 |
410円 | 80円 | |
調剤料(内服) | 1週間 | 350円 | 90円 |
2週間 | 630円 | 90円 | |
3週間 | 770円 | 90円 | |
薬剤情報提供料 | ― | 100円 | |
薬剤服用歴管理指導料 | 410円 | ― |
月2回の通院で内服薬1種類を14日分処方
院内処方の場合
薬代+(処方箋410+基本80+調剤90)×2+情報100(月1回のみ)= 薬代+1,260円
院外処方の場合
薬代+(処方箋680+基本400+調剤630+指導410)×2= 薬代+4,240円
このように、同じ薬を受け取る場合でも、1か月で約3,000円(3割負担で約1,000円)の差が生じます。さらに院外処方では、後発医薬品(ジェネリック薬)への変更や分包の際に追加料金が発生します。
院外処方のメリット
院外処方の場合、専門の薬剤師さんが、他の医療機関で処方された薬との飲み合わせや詳しい薬剤の説明をしてくださいます。
当クリニックでは院外処方にも対応しておりますので、「かかりつけ薬局」がある場合にはお気軽に申し付け下さい。
またクリニックで処方できるお薬の種類は限りがあります。クリニックにないお薬を希望の方は院外処方で対応させていただきます。
院内処方を採用した理由
一昔前は医薬品の納入価(仕入れ値)と薬価(患者さんが払う薬の値段)との差額が大きく、多くの収益が発生していました。そのため院内処方を導入している医療機関が多かったのです。しかし現在では国が定める薬価が年々引き下げられ、差額による収益は縮小の一途をたどっています。
収益が減る一方で、薬の保管・管理・在庫に必要な経費は減りませんから、クリニック側のメリットはほとんどありません。
しかしながら、当クリニックは運動器疾患を診る整形外科ですから、いらっしゃる患者さんの多くは動くのが大変なはずです。そういった方が、家に戻られる前に調剤薬局に移動しなければならないのは負担が非常に大きいのではないかと考えました。
雨の多い梅雨の季節、猛暑が続く夏、からっ風が吹きすさぶ冬ともなれば尚更です。
金銭面のメリットもありますが、移動の必要がない院内処方は何よりも大きいメリットではないかと考え、院内処方を採用しました。